私たちは、つい「同じことをそろえる」「揃っている方が美しい」と考えてしまいがちです。
しかし本当の「調和」とは、すべてを同じにすることではありません。
むしろ、**違うもの同士が響き合うこと**によって、深みや広がりが生まれるのです。
たとえば「クロール」という泳ぎ方を思い出してみてください。
右手と左手は、同じタイミングで動いていません。
交互に水をかきながら、体はねじれ、波が生まれ、その波が推進力になります。
一見バラバラに見える動きが、全体としては美しいリズムを作り出しているのです。
同じことが「絵」や「音楽」にも当てはまります。
パレットの上には、赤や青、黄色など、全く異なる色が並んでいます。
混ぜ方や重ね方によって、新しい色が生まれ、世界は無限の表現を見せてくれます。
同じ色だけを使っていては、平面的で深みのない絵になってしまうでしょう。
料理もまた、調和の芸術です。
塩だけで味つけした料理はシンプルですが、どこか物足りない。
そこに胡椒を少し加え、香草やスパイスを組み合わせることで、味に奥行きが生まれます。
甘味・酸味・苦味・旨味がバランスよく共存するからこそ、「おいしい」と感じるのです。
これらはすべて、**異なる要素が響き合うことで、豊かさや推進力が生まれる**という共通の原理を示しています。
そしてそれは、人と人との関係や、社会の中にも同じように流れています。
誰かと意見が違うこと。
得意なことや苦手なことがそれぞれあること。
それは「欠点」ではなく、「リズムの違い」です。
リズムがずれているからこそ、そこに波が生まれ、変化が起き、前に進む力になります。
「調和(ハーモニー)」とは、完全に同じ音を揃えることではなく、
異なる音が共に鳴り響くことで、ひとつの美しい響きをつくること。
右手と左手、赤と青、塩とスパイス——。
違うものが出会い、互いを打ち消さずに存在するとき、そこにこそ「深み」と「命のリズム」が宿ります。
HARMONEERでは、そんな“違いの中の調和”を大切にしています。
すべてを同じにするのではなく、違いを活かして前へ進む。
そのとき、世界はもっと豊かに、やさしく、美しくなっていくはずです。