自分を知るというチューニング

私たちはよく、「自分を知ることが大切だ」と言います。けれど、その“自分”とは、どこにあるのでしょうか。一枚の名刺の肩書きや、テストで測られる性格の枠に、私たちという存在は収まりきるでしょうか。

私たちは、いつも変化の中にいます。昨日できなかったことが、今日はできる。昨日心地よかった場所が、今日は少し窮屈に感じる。それが生きるということです。つまり、「自分を知る」とは、固定的な答えを得ることではなく、常に更新される“いまの自分”と出会い直すことなのだと思います。

そのためには、静かな観察が必要です。感情の波を否定せずに見つめ、「なぜそう感じたのか」を少しだけ言葉にしてみる。例えば、「今日はなぜか落ち着かない」と思ったとき、その奥には、未完のタスクや言葉にできない不安が潜んでいるかもしれません。その小さな声を拾い上げることが、チューニングの第一歩です。

他者との関係の中でこそ、自分を深く知ることができます。相手の反応を見て心が揺れる瞬間。そこに「私が大切にしているもの」が映し出されます。怒りや嫉妬、羨望、感謝——それらは不快でも、宝物でもある。なぜなら、私たちがどんな価値観で生きているかを教えてくれるからです。

他者は、鏡のような存在です。彼らの中に自分を見出し、自分の中に彼らを見つける。その往復運動が、私たちの理解を深めていきます。

けれど、自分を知ることは、楽な旅ではありません。時に痛みを伴い、時に迷います。「こんな自分は見たくなかった」と思う瞬間もあるでしょう。けれど、そこで目を背けてしまえば、本当のチューニングは止まってしまいます。

人は、欠けや不安定さを抱えたままでも、それでも響き合う存在です。HARMONEERは、その不完全さごと受け止めながら、日々のログを通して「いまの自分」を可視化するための場所です。

私たちはこう考えます。「自分を知る」とは、自分を定義することではなく、変化する自分に寄り添う勇気を持つこと。あなたはどう思いますか?今日、あなたの中で響いている“いまの音”は、どんな色をしていますか?