マボロシと生きる 第1回:残像と会話している私たち

誰かと話していて、
うまく噛み合わないと感じることがある。

同じ言葉を使っているはずなのに、
どこかズレている。

たとえば、久しぶりに会った友人。

昔の印象のまま話していると、
どこか違和感が生まれる。

相手はすでに変わっているのに、
こちらは過去のままで見てしまう。

人は相手そのものを見ているようでいて、
実際には「イメージ」を相手にしている。

過去の記憶や経験から作られた像。

それに向かって話し、
それに対して反応している。

だからズレが生まれる。

相手ではなく、
相手の「残像」と会話しているからだ。

この構造に気づくと、
少し見方が変わる。

相手を理解できていないのではなく、
見ている対象が違っているのかもしれない。

人は常に、
現実と残像のあいだで生きている。

そのズレを前提にしたとき、
関係は少しだけ柔らかくなる。