創ることよりも、「保ち続けること」
HARMONEERでは、世界を完成されたものではなく、常に動き続ける“稼働中の装置”のような存在として捉えています。自然も、人との関係も、社会も、手を離せば少しずつ形を変え、摩耗し、止まりかけてしまうことがあります。だからこそ、生きるということは、この装置に関わりながら、整え続けることではないかと考えています。小さな調整や点検の積み重ねが、世界を動かし続けるエネルギーになるのではないか——そんな想いから、HARMONEERはこの考えを「メンテナンス」と呼んでいます。
メンテナンスとは、支配ではなく「共鳴」であるということ
「マネジメント」や「管理」という言葉には、ときに“コントロール”の響きがあるかもしれません。けれど私たちは、メンテナンスを「聴き、感じ、調整すること」として考えています。庭師が風や土の状態を観察し、調律師が音に耳を澄ませながらピアノを整えるように、人と世界の関わりもまた、繊細な共鳴のやり取りによって成り立っているように感じます。それは、誰かを支配することではなく、世界のリズムを聴き取りながら、自分のリズムを重ねていくようなこと。その静かな調整の中に、私たちは「ハーモニー(調和)」の種を見出します。
手間は、世界とのつながりのかたち
掃除をする、料理をする、人の話を聞く、あるいは植物の世話をする。どれも、少し面倒で、手間のかかることです。しかし、HARMONEERでは、その「手間」こそが世界との接点だと考えています。効率的に生きることが必ずしも豊かさを生むわけではありません。手間をかけることでしか得られない関係や、ゆっくりとしか見えてこない気づきがあります。
手間をかけるということは、世界と関係を結び直すことです。面倒を引き受けることの中に、やさしさが宿ると私たちは感じています。
理想に向かって、少しずつ整える
メンテナンスには、理想の方向が必要です。それは、完璧を求めることではなく、「もう少し良くしたい」という静かな願いのようなものです。世界は常に変化しています。だからこそ、完璧な形にはならなくても、一歩ずつ整えていくその過程に、すでに意味があると感じます。
結果よりも、手を動かし、観察し、調整していくこと。その繰り返しの中に、幸福のかたちが見えてくるのかもしれません。
引き継ぐことが、希望であると考えます
誰しも、自分の時間の中でしか生きられません。だからこそ、HARMONEERでは、「世界を引き継げるように整える」という考え方を大切にしています。教育や文化、記録や習慣といったものは、いずれも「次の人が続きを始められるようにする」ための仕組みです。たとえ自分の手で完結しなくても、誰かがその続きを生きていけるなら、それはもう、世界が動き続けている証だと私たちは感じます。
メンテナンスは、祈りに似ています
メンテナンスは、すぐに結果が出るものではありません。成果が見えなくても、手をかけ続ける。それでも、少しでも良い方向へ整えたいと願う——その姿勢は「祈り」に似ていると私たちは思います。宮沢賢治が描いた「銀河鉄道の夜」のように、静かな願いが、夜空のどこかで誰かを照らすように。整えるという行為は、世界への祈りのひとつなのかもしれません。
メンテナンスとしての幸福
HARMONEERでは、幸福を「何かを得ること」ではなく、「関わり続けること」として捉えています。理想を描き、観察し、整え、引き継ぐ。その過程こそが、調和の循環です。生きること自体が、世界を少しずつ整えるプロセスなのだとしたら、私たちはすでに、幸福の流れの中にいるのかもしれません。
生きるとは、世界という楽器を少しずつ調律しながら奏でていくこと。
その音が、誰かの心に響くなら、それは「ハーモニー」という名の祈りです。
Find your style — Meet the harmony.