意味の生成について 第4回:意味は、固まったケーキか。こね直せる粘土か

家って、不思議ですよね。

「マイホーム」という言葉だけ聞くと、
 なんとなく似たようなイメージを思い浮かべるのに、
 実際に建っているものを見ると、全部バラバラです。

坂の途中にある家もあれば、
 細い路地の奥にねじ込まれるように建っている家もある。
 隣の建物との距離、日当たり、風の抜け方。
 住む人の家族構成や、予算や、好み。

同じ「家」なのに、
 出来上がる形は、まるで別の生き物みたいです。

これ、建築の話に見えて、
 実は言葉の話なんですよね。

言葉も、本当は粘土みたいなものです。

最初から意味がカチッと決まっているわけではなくて、
 状況や関係性に合わせて、
 ぐにゃっと形を変えながら、その場で意味が立ち上がる。

むしろ、辞書に載っている意味のほうが、
 一度固まってしまった「完成品」に近い。

ケーキとか、砂糖菓子みたいなものです。
 きれいに整っているけど、
 もう一度こね直すことは前提にされていない。

でも、実際の会話は違います。

会議でも、商談でも、家庭でもそうですが、
 最初から同じ意味を共有できていることなんて、ほとんどない。

「優先度が高い」
 「できるだけ早く」
 「いい感じに」

こういう言葉って、一見わかるようで、
 人によって全然違う形をしています。

だから、ここで重要になるのは、
 完成された言葉を投げることではなくて、
 一緒に“こねる”ことなんですよね。

つまり、こういうことです。

言葉を「完成品」として扱うのではなく、
 「素材」として扱う。

相手がどういう前提で受け取っているのかを見ながら、
 少しずつ形を整えていく。

「それって、こういう意味で合ってますか?」
 「この“早く”って、今日中ですか?今週中ですか?」

面倒に見えるこの作業が、
 実は、意味のズレを最小化する一番の近道だったりします。

建築も同じで、
 いきなり理想の完成形を置こうとすると、うまくいかない。

土地の傾きや、周囲の環境に合わせて、
 何度も設計を引き直して、微調整していく。

言葉も、それと同じです。

ハルオ的に言うとですね。

「意味が通じない」のは、失敗じゃなくて、
 まだ粘土が固まってないだけです。

だったら、もう一度こねればいい。

少し水を足して、
 相手と一緒に形を作り直す。

それだけの話なんですよね。